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蒸気機関車の残り香を探して2023-02-27〜03-01 | |||||
ヤッチロを過ぎて上り勾配になり国境の長〜いトンネルを抜けたつもりだったが、越えた先の人吉も肥後の国であった。あれ、地理は得意なはずなんだがなと思いながら高速を降り球磨川沿いをしばし走る。
夜の帳が下りた頃に球磨川沿いのキッチン付きの貸家スタイルの宿にチェックイン。玄関に黒猫フックを発見しただけでもうすでにいい宿確定。ねこバカを喜ばすのは実に簡単だと思う。 おぅ、日奈久のちくわとそのへんで買った安い球磨焼酎がしみじみうまい。黒麹最高。いや、黒いのは麹もねこも最高。ひとつ気付いたのは、自分は芋焼酎好きだと思ってたんだけど、そうじゃなくて実は麹の香りが好きだったんだということ。
夜も更けてから暇を持て余した私は買ってきた卵を茹でる。
主題とは関係ないけど、昔は地方へ出張に行ったときに見る、地方独自のコマーシャルが色んな意味で面白かったんだけど、最近は箸にも棒にもかからんね〜。
昨夜は暗くて気づかなかったが橋が落ちてるぞ。
現場の近くにあった肥薩線一勝地駅に立ち寄ってみた。物産館みたいになってて土産物を売っていたので買い込む。そして情報収集。
このマークを目安に停車していた蒸気機関車は確かSL人吉号。何年か前に自宅近くで気動車に押されるか牽かれるかして回送されてるのを見たな。 嘉例川駅に見劣りしないような立派な駅舎だ。 ホームも2面あるし大きな駅だったのかもしれない。 今でも到着する汽車を待っているような佇まいだった。
そういうことなら見ておかねば。凄まじかったであろう被害の実態を脳裏に焼き付けておかねばなるまい。 写真を見ておわかりだと思うが わたしは晴れ男 この日もピクニック気分になりそうな陽気だった だけど この光景が わたしの気持ちを否応なしに土砂降りにする 愛でる人もいない梅がきれいに咲き誇っていても 誰も座ることのないひしゃげた椅子のある風景が私の呼吸を止め 平行であることを否定されたレールはそのカーブの少し先で 狂ったように暴れた水の塊に飲み込まれていた
今、目の前を流れている球磨川は実にのどかな姿を見せてくれているが、ひとたび天が怒り狂うと、せせらぎは濁流へと姿を変えニンゲンの生活ごと押し流してしまう。 最終日にようやく神社にお参りする時間が取れたので、知らずにいた自分の愚かさを侘び、今後の安全迅速な復興事業をお願いして帰路についたんだけど、帰りの高速は事故渋滞あり、阿呆に邪魔されること2回、そして大雨の三重苦と、神様にちょいとお灸をすえられたような気分で反省しきり。 参拝の後で、狛犬(阿)が可愛いなと写真を撮って階段を降りようとしたときに、背後から呼ばれた気がして振り向いたら狛犬(吽)が、私も撮ってねとニッコリ微笑んだのでパチリと撮影し深々と頭を下げたのは忘れられない思い出。 水害で亡くなられた方々が安らかに眠られますように。そして被害を受けた皆様の復興すべてが安全にすすみますように。心よりお祈り申し上げます。 | |||||
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